セミはセミの仕事をしている
今朝はやけにセミの声が騒がしい。でも、セミの鳴き声ぐらい夏を感じさせるものはありませんね。今年は7月が曇りの日が多かったせいか、セミの声をあまり聞かなかったような気がします。それが8月になると大型の台風と猛暑が日替わりで襲い、セミもさぞかし戸惑ったことでしょう。さすがにお盆を過ぎると暑さは幾分和らぎましたが、今度は残暑が厳しくなり、夏らしさが戻ってきたような気分です。でも、気がつけば8月ももう残りわずかになりました。この間、セミたちは天気予報に耳を澄ませているのでしょうか、実に効率的に仕事をしています。何しろセミの寿命は、たった1週間か精々10日ぐらいといいますから、かなりハードな労働を強いられているはずなのに、健気にも元気いっぱいに鳴いています。人間は勝手なもので、セミが鳴かないと言っては寂しがり、鳴き声がうるさいという。台風や低気圧はこんなに気まぐれで迷惑旋盤なのに、セミの鳴き声ぐらい大目に見て、夏にしか訪れない賓客扱いしてもよいのではないでしょうか。ちなみに、わが家の庭には、朝はオオゼミ(ミンミンゼミ)、夕方はヒグラシが訪れます。
多くの昆虫は羽をこすってなくそうですが、セミは羽ではなく何とお腹をこすって摩擦音と、お腹の中の共鳴室という空気が入ったところで、そこで鼓膜という筋肉が振動して共鳴室の空気が共鳴して音が鳴るのだそうです。また、発音幕という鳴き声を出す器官を、発音筋で振るわせて音を出して共鳴室で音を大きくしている。いずれにしてもたいしたメカニズムですね。あのファーフル昆虫記で有名なフランスのファーフルが、面白い実験しました。セミが鳴いているすぐそばで、大砲を鳴らしてみたところ、セミは鳴きやまなかったそうです。実験の結果からすると、セミには耳がないようにも思いますが、実はセミは耳を持っていて音を聞くことができるのです。ですが、泣くセミはオスだけで、メスは鳴きません。おすのセミは、めすのセミに自分のいる場所を鳴き声で知らせているのです。ミンミンゼミやツクツクボウシなどは、鳴くと、そのあ後飛び立ってしまうが、アブラゼミやニイニイゼミは、鳴いてもそのまま動きません。つまり、動いてメスを探すセミと、鳴いてめすを呼ぶセミの2種類のセミがいるようです。
いずれにしても、おすのセミは、自分のいる場所をめすに知らせるために鳴いているのです。親になったセミは、たった1週間か10日しか生きられません。限られた命の中で、次の命を残すという大切な仕事を成し遂げなければなりません。そのため、あのように激しく鳴いてめすを呼んでいるのでしょう。こんな話を聞くとなんだか切なくなりますね。そういえば、さっきまで賑やかだったセミたちが一斉に遠くへ移動したようです。もしかすると、自分の仕事のために人に迷惑をかけてはいけないとリーダーにでも注意されたのでしょうか。ボクたちは、セミの鳴き声がうるさいなどと感じたことはありません。逆に、セミの鳴き声は、「静かさの象徴」だと思っているくらいです。せっかくわが家の庭に来てくれたのに、気を使う必要はありません。残り少なくなってきた夏の日、思う存分大きな声で鳴いてください。ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシなどの鳴き声は、特に心に沁みるものがあれます。それにしても、もう少し長生きさせてあげてもよさそうな気がするのですが、そうもいかないのでしょうね。でも、セミのことを調べて、博士とまでは言えないまでも、セミプロぐらいにはなれたかも?