宮城の小京都(村田町)
村田町は蔵の町といわれるほど重厚な蔵が立ち並んでいる。また、街並みの美しさから「宮城の小京都」とも呼ばれる。2018年10月6日、老舗着物店「二幸」が、蔵の町並みで知られる村田町を着物で散策するイベントを開催した。50から60代を中心に35名が参加。さわやかな秋空のもと、歴史ある建造物や店舗を巡り、ランチや買い物を楽しんだ。イベントテーマは「秋の蔵町」である。村田町は、江戸時代後期から昭和にかけて、紅花取引で栄えた地域。町の中心部にある「蔵の町並み」には、当時の豪商の蔵が随所に残っている。その街並みを、着物を着た歩くイベントが今年も開催された。当日集まったのは、小紋や袖を着こなした和服美人の皆さん。蔵の町並みの一画に集まり、さっそくお互いの装いを褒め合った。珠理織(沖縄)や南部茜染め(岩手)などの希少な着物や、紅型(沖縄)、博多織(福岡)、西陣(京都府)、京友禅(京都府)、の帯などが揃い、全国各地の「和の美」が一堂に会したような光景だ。
村田の紅花商人にちなみ、江戸時代の商人を描いた帯や、紅花を運んだ北前船をあしらった帯を締める参加者も。銀杏模様の帯やトンボの帯留めなど、季節のモチーフも見受けられた。全員集合したところで、主催者の二幸の代表取締役 矢萩正明さんの開会の挨拶。その後、「村田商人やましょう記念館」に移動して記念撮影となった。蔵の風情ある佇まいに和の装いが美しく映え、村田の栄華の時代が甦った。写真撮影を終えた参加者たちは、すぐ前にある雑貨店で「ひやしあめ」を飲んだり、地元の酒蔵で地酒を特別に試飲させてもらったりと、思い思いに町の雰囲気を満喫していた。お待ちかねのランチタイムでは、地元の発酵食をふんだんに使ったメニューを堪能。味噌店の味噌や飴、納豆専門店の納豆などお土産を選んでいるうちに、解散の時間なった。
「天気も良くて、みなさんと一緒に着物を着て歩けて楽しかったです」「みなさんの着物を拝見することができて良かったです」と、大盛況だった。櫻花きもの学院院長の祖父江佳織さんの「今日、来てくださっている方々は、肝を特別なものではなく、スーツやワンピースの延長のように、お洒落の一つとして楽しまれています」とのお言葉に、二幸専務の矢萩桂子さんは「皆さんと着物を着て京都や東京にもよく出かけていますが、そこでも『二幸さんのお客様はセンスがいいですね』と褒められます」と微笑まれた。矢萩社長は「参加者の方々が、ご自分のセンスで着物を着こなされ、日本の文化や発酵食を味わって、お楽しみいただけたようでよかったです」と話されていた。同様のイベントは今後も予定されているとのこと。興味をお持ちの方は、気軽に問い合わせてみてほしい。