なぜか心の乱れるとき
このブログ「わが家のムサシ」は、もともとわが家の家族であるワンちゃん「ムサシ」の暮らしぶりを紹介するのが目的で書き始めたものでした。しかし、途中でムサシが直接皆さんにお話したいこともあるということで、時にはムサシが私たちのことを書くこともありました。ところが、いつしかこちらの方が多くなってしまいました。大変恐縮ですが、ここでもう一度、このブログを書くルールを明確にしたいと思います。そのルールというのは、「ムサシ」という言葉が出てくるときは、私が彼のことについて書いているときです。次に、ムサシが直接書いているときは、自分のことを「ボク」、私のことは「オヤジ」といい、「お母ちゃん」は両方共通に使います。そんなわけで、今日は、久しぶりに「ムサシ」のことについて私がお話します。それは、11月3日、日本テレビ19時放送の「天才!志村どうぶつ園」をみんなで見ていたときでした。画面に登場したのは一匹のドーベルマン。彼は生まれつき虚弱体質で、元の飼い主から捨てられるという可哀そうな過去を持つワンちゃんだったのです。
それでも、保護施設「神奈川ドッグプロダクション」に保護されました。今年の24時間テレビでこの施設を訪れた際、やけに志村園長に懐いていたので、今回、園長が再訪問したというわけです。そのワンちゃんはドーベルマンで名前はダンテ君というのだそうです。園長やスタッフは2ヵ月も前のことなので、もう忘れているのではと少し不安もあったようですが、園長が施設に入るや否やダンテ君はそわそわしだし、しっぽを振りながら立ち上がって窓に顔を押し付け、歓迎のポーズを取り始めました。施設の人にドアを開けてもらうと、一目散に志村園長のもとに駆け寄り、嬉しさが最高潮に達したようでした。彼の眼はとても優しく、わが家の家族にはムサシの在りし日を彷彿とさせるものでした。私は、ムサシとは四六時中一緒にいる身なので、あらためてムサシの顔を意識することはありませんが、その私が見てもダンテ君の目はムサシの表情とそっくりでした。久しぶりにムサシの喜ぶ顔を見たような気がしたのか、お母ちゃんも大興奮でした。動物好きのお母ちゃんのことですから当然のことなのでしようが、当然私だって、同じ思いだったのです。
ところが、ダンテ君をまともに見ることができず、その場から離れてしまったのです。するとお母ちゃんは、私を追いかけてきて、「今、ダンテ君と志村園長が散歩をしている。階段を上るとき、園長が少し遅れると、振り返って園長を気遣っている。その姿は、昔のムサシとお父さんにそっくり!」。こっちへ来て見てごらん! としつこく(いや親切に)迫る。私がダンテ君をまともに見られなかったかは、うまく説明できないが、「バーチャルと現実」の違いのようなものを認めたくなかったからなのかもしれません。思い起こせば、ムサシと私には、こうしたシーンは数えきれないほどありました。道路を横断するときも、最初は、信号が赤かどうはお構いなしで強引に渡ろうとしていましたが、しばらくすると、赤の時は、自主的に青になるまでその場にしゃがんで待つようになりましたし、散歩の途中で私の携帯電話がなってもお構いなしで、突進していたのに、すぐに通話が終わるまでおとなしく座って待っていてくれるようになり、そして晩年には、電話の内容が深刻なものかどうかを気遣ってくれるようになりました。そんなことを思い出して心が混乱してしまったのかもしれません。