とんかつ まつを
良質のラードを使ったサクッと揚げたてのロースカツは、やわらかでほんのりと甘みのある肉質です。これに、野菜の旨みたっぷりのカレーをかけていただくカツカレー。「とんかつ まつを」のカツカレーは、金曜、土曜の週末ランチ限定メニューです。金曜日は開店直後から「1週間これのために頑張ってきました」というサラリーマンで、狭い店内はすぐに満席になってしまいます。
カレーを仕込むのは松尾啓樹さんです。農学部出身で、会社員を経て研究者の道を歩みましたが、10年ほど前に父親の啓之さん、母の冨美子さんが切り盛りする店に立つようになりました。子供のころから店を手伝い、常連客と威勢のいい掛け合いをしながら、愛される料理を作り続けてきた父親を見て育ってきました。「目指すのはオヤジの味です」と啓樹さん。「常連客さんには、オヤジの味と比べてまだピリッとした辛みが足りないって言われるんですが」と柔らかく笑います。
マイルドな口当たりだが旨みとともに後から辛みが追いかけてくる。じわりと汗ばみながら、ショウガとニンニクの風味やほどよいトマトの酸味が次の一口がまた食べたくなる。8ないし9種類の野菜を煮込んで作るカレーは啓樹さんいわく「ソースに近い感覚」です。あっさりした食味のササニシキのご飯にはもちろん合いますが、ロースカツともまたよく馴染むのです。カツは好き、カレーも好きですがカツカレーはちっとボリュームがあり過ぎて...と敬遠する人こそ試して欲しい一品です。