情報の渦に飲み込まれない生き方
最近は、スマホやアイホーンなどの機能が向上し、情報の取集には事欠かない。しかし、その一方では、振り込め詐欺をはじめとする犯罪も多発している。あまり神経質になりすぎると、世の中から置き去りにされてしまいそうだし、先走ると被害にあう危険性が高まる。このバランスをどのように保って、快適に情報機器を使いこなすかが、現代版処世術ということになるのでしょうか。孫子の言葉[之(これ)を策(はか)りて得失の計を知り、之を作(おこ)して動静の理を知る]というのがこの課題を解く鍵になりそうです。
孫子の言葉の意味は、「相手とのやり取りを蓄積して、その履歴を読み解くことで、相手の利害得失と価値観(価値判断基準)を把握すれば、相手と良好な関係が保てる」といった意味のようですが、商品やサービスの販売をめぐるトラブルに当てはめて考えることもできる。つまり、相手の行動基準や動く時の判断基準を掴んでおけば、相手の動きを察知し、先回りできるわけで、たいていの人は、相手が動いてから自分が動き出すので、後れを取ってしまうことになる。たただし、これは単に先手必勝ということではないので、気お付けたい。
また、孔子のことばにも、「其の以(もち)うる所を視、其の由(よ)る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや」というのがある。その心は、「よく注意して視る」「よく観察する(読み返す)」「推察する」ということである。わが家のムサシは、「見る」「視る」「観る」「診る」「看る」という意味をよく理解していて、「察する」ことに長けているのかもしれません。単なるデータとして蓄積されているだけでは、役立つ情報に組み立てられないということのようです。