平成の大修理を終えた瑞巌寺
明治(1900年)以来の大規模改修となる「平成の大改修理」を行っていた国宝瑞巌寺。昨年春に公開が再開された本堂に続き、御成門、中門も修理を終え、いよいよこの秋には全山公開が実現します。瑞巌寺の由緒は古く、開山は平安時代初期に遡る。以来途中廃絶や荒廃の憂き目に遭うもそのたびに再建、復興され、霊場松島の中心的存在として人々の心の拠り所となり、今日までその歴史を刻み続けてきました。現在の寺閣が造営されたのは慶長9年(1604年)から14年(1609年)にかけてのこと。伊達政宗が自ら縄張りを行ったと伝えられています。
桃山様式の本堂、御成玄関、庫裡、回廊が国宝に、御成門、中門、太鼓塀が国の重要文化財に指定されています。修理に当たっては、往時の姿を保存しつつ、これからの長い年月の経過に耐えうるよう、耐震などの補強も施した。四百余念の時を経てきた瑞巌寺が、現代技術の粋を集めて、さらなる歴史の歩みを始めたのです。総門から本堂へと続く参道は、かつては両側を樹齢数百年という杉木立が覆いつくしていましたが、大震災の影響でその殆どが伐採を余儀なくされました。現在は新たに植樹が施され、以前とは異なる趣の参道へと生まれ変わりつつあります。来年6月の落成法要までは完成するとのことです。
落成イヤーとなるこの一年、瑞巌寺では様々な行事が開催されます。10月には音楽法話バンド「一期一會」のコンサートが行われます。臨済宗妙心寺派の僧侶5人による音楽バンドで、ピアノやギター、ヴァイオリンなどの楽器を演奏しながら御詠歌、動揺、人気のポップスまで披露する。本堂に厳かに響く独特の音楽を存分に楽しみましょう。11月には、今回の大改修に携わった株式会社小西美術工芸社の代表取締役を務めるデービット・アトキンソン氏による講演会が開催されます。元ゴールドマン・サックスアナリストという経歴を持つ氏は、日本の伝統文化を愛し、独特の視点で活動を続けている人です。