ひょっこり現れた大根のお兄ちゃん
久しぶりにあの大根のお兄ちゃんが店に現れました。「大根のお兄ちゃん」とはこれまで度々登場した青年です。最初に来店されたのは、確か中学生の時でしたので、あれからもう十数年もたったことになります。大きな大根を抱えて来店したお兄ちゃんを見て、それでは持ち帰るのに大変だからと、持ちやすいように梱包し直してあげたのが昨日のような気がします。そのお兄ちゃんが今年もまたひょっこり来店されました。今回は、お爺ちゃん、お父さんも一緒で、車で北海道まで行ってきた帰りだということです。
大根のお兄ちゃんばかりでなく、私たちみんなが同じように年をとったはずなのですが、少年は、いつの間にか立派な青年になり、今では小学校で英語を教えているということでした。お爺ちゃんやお父さんは、お兄ちゃんから時々聞く当店の様子を見たいと思っていたようですが、その実、わが子、わが孫の成長ぶりを私どもから、聞きだしたいという意図がったように思います。案の定というべきでしょう!初めて当店を訪れた時の話になると、お爺ちゃんの目がよりいっそう細くなるように感じました。
自分の老いを実感するのは寂しいものですが、同じ年を重ねて成長した姿を見るのは嬉しいものです。ふと気が付けば、わが家の孫たちもあのときのお兄ちゃんと同じ年ごろになっていました。もう少し頑張って生きれば、大根のお兄ちゃんのように成長した孫たちを見られるのかと思うと、元気をもらったような気がします。それが実現できれば、今日のお爺ちゃんの気持ちが愛おしくてたまりません。いつの日か、またひょっこり現れるお兄ちゃんの姿はどんなものだろうと、想像しながら三人を送り出しました。