ガラス工房キルロ
村田町にある「ガラス工房キルロ」は、夫の志賀英二さんと妻のまつださゆりさんが2005年に設立した工房です。築100年の建物を、2人が手をかけて改造しました。その工房の前には、志賀さんのユニークなフォルムのガラスが置かれ、小百合さんが活けた草木が彩りを添えています。草木といっても山菜のウドでそのアイディアにはどこかゆったりとした気分にさせられる。ドアを開ければ、ガラスで作られた作品の数々が、周囲の緑と太陽のきらめきを映し出し、出迎えてくれます。志賀さんの"ラインドローイングシリーズ"と"渦巻シリーズ"は、日本クラフト展(第50回・51回)の奨励賞を受賞した作品。
涼やかな音色が響きそうな風鈴や日々を愉しむ器が並びます。志賀さんは大学卒業後、東京都・新島にあるガラス工芸の日本拠点の一つである、新島ガラスアートセンターで技術を磨きました。さゆりさんは吹きガラスで有名な倉敷ガラスで器の創作を学んできました。工房にはオレンジ色の火がまぶしく燃え盛る窯が並ぶ。カラス制作と聞いて思い浮かぶのは吹きガラスですが、ここも吹きガラスによる創作工房で、実は県内では少ないそうです。2つの窯の温度は、なんと1200℃もの高温で、冬場は2・3ヵ月つけっぱなしで作品作りに没頭するのだそうです。
今は展覧会の季節で、6月から7月にかけて各地で初夏の作品展が行われます。また、個々の工房では、吹きガラス体験もできるということで、参加される方は、事前にどんなものを作りたいのか考えてきて、アドバイスを受けるようです。丁寧に指導し、サポートしながら約1時間。見ているだけでも興味深いガラスづくり、皆さんの感想は、「やっぱり難しかった」「暑かったけど、自分でガラス器を作れて嬉しい」というのが多いようです。暑さに耐えながらのガラスづくり。砂を燃やした火玉から形づくられた作品が、そこはかとない涼をもたらしてくれます。