雄勝石
600年もの歴史を持つといわれる雄勝硯は、石巻市雄勝特産の玄昌石から生まれ、伊達政宗を始め、多くの著名人に愛用されてきました。東日本大震災前は、国内の硯の9割ものシェアを占めていましたが、震災の津波により壊滅的な被害をこうむりました。しかし、ボランティアなどの活躍により、復興の兆しが見えてきました。玄昌石ならではの純黒色で柔らかい光沢と滑らかな質感で、圧縮や曲げにも強く、吸水率も低いのが特徴です。
墨をする際に歯の役割をする「鋒鋩(ほうぼう)」の秀逸さは、他の追従を許さないほど高く評価されています。この雄勝硯の歴史は古く、室町時代からと伝えられてすます。その伝統の技か認められ、昭和60年には国の伝統的工芸品の指定を受けました。東日本大震災の前は、国有の山から採石し、硯を彫り、販売する完全分業が行われていました。東日本大震災の津波により、町の家屋の9割が被災し、いま町に住む人は震災前と比べると4割ほど減少しているという。
しかし、うれしいニュースもあります。津波で流された工場跡地に残っていた雄勝の名産「雄勝石」を使った壁画が今月14日、JR仙台駅3階の新幹線中央改札口脇に設置されました。満月が浮かぶ日本三景松島の穏やかな海の風景が描かれています。東北にたくさんの観光客が訪れるようにという願がい込められています。この壁画縦2m、横3mで、工場跡地から見つかった36枚の雄勝石を、雄勝石作家の斉藤玄昌実さんが組合せ無償で提供したものです。斉藤さんは2012年にも、東京駅に同様の壁画を提供しています。