たらちり鍋
鍋ものの美味しい季節ですが、この時期の代表格は何といっても「たらちり鍋」ではないでしょうか。たらは漢字では「鱈」と書きますが、一年中水揚げされる魚なのです。しかし、産卵前の11月から春先にかけての雪の降るころに美味しさを増します。そんな理由で魚と雪を合わせた名前になったのかも知れませんね。たらは生物の少ない海底に棲んでいるため、貪欲なのだそうです。大きな口を開けて他の魚を飲み込むことから「大口魚(たいこうぎょ)」とも呼ばれ、また、丸のみしてふくれたお腹から「たらふく」食べるという言葉が生まれました。
一般的に店頭に並ぶのはマダラ、スケソウダラ、コマイ(水下魚)の3種類です。脂肪分が少なく消化も良いたらは、お年寄りや胃腸の弱い方にもやさしい食材です。白身のあっさりとした味わいはどんな料理にも良く合います。加熱してもかたくならないのは、繊維タンパクが大半を占めているからです。うまみ成分のイノシン酸やグルタミン酸が豊富なので、淡白なのにうまみがあり、しかも、喉や鼻の粘膜を守ってくれるビタミンAも含まれているので、風邪もひきにくくしてくれます。たらに不足気味のビタミンCを補うために、じゃがいも、パプリカ、トマトを一緒に食べると風邪予防効果がアップするそうです。
たらの中でも、30cm前後の小さいものは「ポンタラ」と呼ばれ、鍋や干物にして丸ごと使われます。白子や卵(真子)はもちろん、中骨や肝、エラなどのアラまで、余すところなく食べられる魚でもあります。東北ではじやっぱ汁(青森・秋田)、どんがら汁(山形)などの郷土料理か有名ですね。たらの選び方としては、鮮度が落ちやすいので、切り身を購入する場合は、身がピンク色がかっていて透明感のあるもの、さらに、血合いが鮮やかで、切り身の角がたっているものを選びましょう。