松島に咲く紅白の梅
伊達家の菩提寺である国宝瑞巌寺本堂前の境内には、仙台藩祖伊達政宗が文禄の役の際、朝鮮から持ち帰ったとされる有名な梅の木があります。瑞巌寺が完成した1609年に政宗によって植えられた、八重咲きの白梅と紅梅のコントラストが美しい。「臥龍八房(がりゅうやつふさ)」の異名を持ち、龍が臥せているように見えることから「臥龍梅」の名で知られています。開花時期は通常の梅より遅く、例年ですと、3月下旬から4月中旬にかけてが見ごろです。
2012年からの「平成の大修理」で立ち入ることができなくなった本堂は、4月5日(火)から再び公開されます。ようやく臥龍梅を間近で観賞できます。梅の開花中は宝物館「青龍殿」で「臥龍梅将来図楳香画」も展示され、梅とともに政宗の家臣が描かれた版画で、瑞巌寺の担当者は「文化人だった政宗の人柄が窺えます」と言っています。また、瑞巌寺に近い「三省堂」の傍に咲く紅白の梅の花は「軒端の梅」として親しまれています。昔、近くに住んでいた小太郎が植えたもので、妻の紅蓮尼は梅を愛でて、生前会えなかった夫を思いだしていたという。
紅蓮尼はお布施のコメを粉にしてせんべいを焼き、地元の人々に振る舞った。これが名菓の「松島こうれん」の始まり。三省堂近くの「松島こうれん本舗新月庵 紅蓮屋」は1327年の創業以来、一子相伝で松島こうれんを作っているという。長方形の白色せんべいは、さっくりと軽く、上品な甘さです。23代目の星稔さんは「紅蓮尼が和歌を詠んだことにちなみ短冊型。ササニシキを使い、1枚ずつ手焼きしています」と説明する。現在は定番の「上白糖入り」の他、「和三盆入り」「還元麦芽糖入り」、予約制でミニサイズの「ミニこうれん」もあるそうです。