ムサシに食べさせたくて
この時期スーパーマーケットに入ると、目あてのモノを探すより先に目がいってしまうのが果物売り場の陳列です。それも、真っ赤に熟したリンゴです。もちろん、近頃は季節を問わず年中いろいろな果物や野菜がありますが、やはり、旬のリンゴは格別です。わが家のムサシは、リンゴならどんな種類でも美味しそうに食べてくれましたが、その中でも「ふじ」が最高のようでした。
その「ふじ」が大量に入荷されるこの季節、ムサシが喜んで食べる姿が頭をよぎり、つい、目も足も果物売り場に向いてしまいます。赤、黄色、緑の順に陳列されている野菜売り場は、特に季節を感じさせてくれますが、晩秋の彩が一番鮮やかなような気がします。今では、ムサシの影響なのでしょうか、私もリンゴが大好きになり、殆ど毎日のようにリンゴを食べています。
新しくリンゴを買ってくると、まず、ムサシの遺影の前にお供えし、あのポリポリという音を思い出しながら二人でいただきます。普通のリンゴは、買い置きすると味が落ちるし、歯ごたえも少しふかふかしてくるので、こまめに買い足しするようにしていますが、その点、「ふじ」は、翌年の3月頃まで美味しく食べられます。それに、段ボール箱を重ねておくと、なんだかリッチな気分にもなり、ムサシもご機嫌のようです。