またあの時のことを思い出しました
あれはたしか、6年ぐらい前の事だったと思いますが、10日ほど東北大学病院に手術のため入院したことがありました。その頃ムサシは10歳を過ぎていましたから、あまり多くを語らなくても、わが家に何が起きているかは十分察していたのは当然なのかもしれません。私にしてみれば、10日間も相棒と離れるのは辛かったので、あまり入院のことは話したくありませんでした。
そうした態度がかえってムサシの心配を大きくさせたのではないかと思いました。しかし、毎日のように面会に来てくれましたし、退院すれば、またいつものように散歩に出かけられると思っていたので、もう少しの辛抱だと心に言い聞かせながら、闘病生活を続けていました。ただ、帰り際のムサシを見ると、私以上にさびしさをこらえていたのではないかと感じました。
もともと、我儘を言って私たちを困らせることなどなかったムサシですが、普段は私が外出から帰ると、"ワン"と一声大きな声で迎えてくれたものですから、面会に来た時も大きな声を出すのではと心配したのですが、それは全くの取り越し苦労でした。特に注意を促したわけではないのですが、病院という環境の雰囲気を感じ取って対応していようでした。私にしてみれば、その気持ちがいじらしくてたまりませんでした。