石井屋のパン
昭和3年の創業というから、今年で86年目を迎える「石井屋」は、上杉通りにあります。創業当時は、和菓子屋としてスタートしました。3代目に当たり、製造部門を担当する社長で兄・憲保さんとともに店を守る専務で弟の伊藤芳裕さんは、大学卒業の時期に先代が急逝したため、否応なくパン作りの世界へ飛び込んだのだそうです。もちろん、どこのお店でも修業をしたことがありません。
しかし、その分「、型にとらわれないパン作りができるのかもしれませんね。いい材料を使って、美味しいパンを届けたい。それだけの思いでここまでやってきました。」とこれまでを振り返ります。常に現状に満足しなかったからこそ、新しいパン作りのステップを一つひとつ上がっていく。この実直さが「石井屋」が多くの人に支持されている理由なのでしょう。
「店のパンを食べて幸せな気分になってほしいだけ」と話す伊藤さんは、パンの味わい、口どけ、食べやすさを追求すること。そして、お客さんと同じ視点に立ってパンを作っていくこと。その姿勢が欠かせないとも言っています。「私の街にも『石井屋』があったらいいのに」。そんな声が聞こえるなかでも、一店舗主義を貫くのは、目の届く範囲でパンを作り続けるために、安全・安心を第一に考えているからだという。