開盛庵の鰻
今年は土用の丑の日が7月29日ということなので、少し気が早いのかもしれませんが、鰻ファンにとっては待ちきれないとこうでしょう。仙台市青葉区の一番丁と南町通りの交差点から少し南に下ったところに、ビルの中にすっぽりと納まっている開盛庵は、かつて大河原の資産家が所有していた由緒ある文庫蔵でしたが、その佇まいを老舗店舗として甦らせたものです。
年輪を感じさせる梁や柱は穏やかな黒光りを放ち、訪れるお客様を温かく迎え入れてくれます。「開盛庵」という店の名前は、訪れた人に運が開け、福がくるように盛り立てる、そんな意味が込められているそうです。創業134年という開盛庵では、鰻のかば焼きは、江戸の伝統を受け継ぎながら、独自の仙台風を確立したもので、口に入るとほろりと溶けます。
これは、蒸し加減を身上とする開盛庵ならではの職人技によるものですが、長年継ぎ足し継ぎ足してきたタレも深く濃く、それでいてほどよい甘さでくどくない。ご年配で一人前では量が多すぎるという方や、ちょっとだけ味わいたい、という方にも安心して召し上がっていただけるようミニサイズのメニューも用意しているという。ふっくらと香ばしい鰻の蒲焼に、極上の肝吸いと香の物がさらに鰻の味を引き立たせます。