熊野新宮社
名取市愛島(めでしま)から熊野堂にかけて山沿いを通る県道39号線には、道祖神や中将実方朝臣の墓などがあり、古くから往来の多い道であった考えられています。熊野堂には熊野本宮社、熊野新宮社(熊野神社)、熊野那智社の三社が鎮座しています。一般に熊野神社は一つの場所に祀られるが、和歌山の総本社同様熊野三社が独立して在るのは珍しい。
平安末期に名取老女と呼ばれる、熊野権現を篤く信仰する女性がいました。あるとき山伏が老女を訪れ、山伏が熊野神社へ参詣した折、奥州へいくなら名取老女を訪ねなさいとの夢のお告げがあったと話した。老女は年老いて熊野詣でができなくなったことを嘆いたため、山伏の訪問に感涙し、自ら拝んでいる小社に案内したということです。
やがて、この土地に熊野三社の社殿が立てられることになりました。熊野新宮社は伊達家の崇拝も受けた東北でも屈指の熊野社です。現在は作物神としての信仰が篤く、4月第3日曜日と10月第2日曜日の例祭では熊野堂神楽が奉納されます。新宮社のやや北西のゆりが丘の入り口近くには本宮社があり、海を見渡せる高館山山頂には那智社が建っています。