零羊崎神社(ひつじざき神社)
石巻市牧山にある零羊崎神社は、宮城県無形文化財に指定されている牡鹿法印神楽で知られています。延喜式神名帳に記載された式内社で、いわゆる「牡鹿十座」の筆頭に記載されている大社です。拝殿は、鷲峰山長禅寺の御堂でした。内部には、万治元年(1658年)及び延宝2年(1674年)に奉納された大絵馬や長禅寺の山号である「鷲峰山」の扁額があります。
その由緒には、諸説ありますが、応神天皇2年の神功皇后三韓征討の時に、当社大神の御神託により出征を決意し、大神の御守護により無血にして征討がかない、神功皇后の御勅願により涸満瓊別神(ひみつさけのみこと)という名を賜り、東奥鎮護のための牡鹿郡龍巻山にお祭りされた。涸満瓊別神は、干潮、満潮を別ける働きをする神という意味です。
後にこの名が零羊崎となり、鎮座地の龍巻山の龍は除かれ牧山となりました。神仏習合時代は、坂上田村麻呂が勧請した牧山観音の、鷲峰山長禅寺という山号を持つ奥州三観音の一つとなりました。また、牧山は、元は魔鬼山とも書いたとされています。坂上田村麻呂が魔鬼女の菩提を弔うために観世音菩薩を勧請し、弘仁7年(816年)に魔鬼山寺を牧山寺として、法相宗の僧延鎮が創建したとする説や、慈覚大師円仁が開山したという説もあります。