マンボウの「酢みそ和え」
マンボウは温帯から熱帯海域を回遊しており、初夏になると暖流に乗って北上し、三陸沿岸にもやってきます。気仙沼や本吉郡では定置網に掛かったり、突きん棒漁船などで漁獲され、夏の味覚として親しまれています。全長3mから4mにもなる巨大な魚で、尾びれがなく、身体の後ろ半分が切り取られたようで、独特な形をしています。
肉には、白身と赤身があり、一般的には白身を食べますが、身は柔らかく水分が多く、味は淡白で身を裂いて食べることから、地元では裂きサメとも呼ばれています。生を酢みそで食べるのが一番ですが、さっと茹でて和え物にしても食べます。腸に塩こしょうして焼いたり、肝臓は肝和えにして食べると得も言われる珍味だといわれています。
漁師は船上で生のまま肝和えにして食べますが、肝臓を容器に入れて腐らせ、何年も放置しておいて、紅茶色になった上澄み液を胃薬や肌荒れなどの薬にしていました。また、マンボウのとも和えを漁師は「肝煎り」と呼んでいます。これは、つぶした肝を鍋に入れて煎り、滲みだした油を捨てて調理していたからなのでしょうが、これもまた珍味です。