こくしょう
くるみ豆腐とシイタケ、タケノコ、ニンジン、サヤエンドウなど季節の野菜の煮物を盛り合わせて、しょうゆあんをかけた精進料理が「こくしょう」と呼ばれるもので、宮城県内では、遠田地方を中心とした県北で「こくしょう」、仙台近辺では「おこくしょう」と呼ばれています。こくしょうとは濃醤油汁または濃汁のことではないかといわれています。
宮城県だけではなく、「こくしょう」と呼ばれている精進料理は、全国にあるようですが、これらはもともと葬式や法事の本膳料理の「角」に盛りつけられるものです。農村には「講」や「契約」といわれる組織があり、互いに助け合って、大きな行事をこなす習わしがありました。その代表的なものが葬式で、本膳料理の材料を持ち寄り手作りされました。
葬式の料理は地域ごとにだいたい決まっていて「こくしょう」もそのなかの一つで、地域にとっては大切な料理とされています。最近はくるみ豆腐なども簡単に手に入るので、あまり珍しくはありませんが、家庭で一から作るとなると結構手間がかかるし、できふできも多少気になります。それに好みも様々なので、わが家ではもっぱらもちかえって批評しながら味わうのが通例です。