みやぎの雑煮(その2)
みやぎの雑煮でもう一つあげるとすれば、石巻地方を中心とした地域の「ホヤ雑煮」でしょう。三陸沿岸が主産地のホヤは、全国の生産量の八割を占める宮城県ではなじみの食べ物で、遠来の客や祝い事の膳には欠かせない食材といわれています。ホヤの語源は諸説ありますが、一般的には「ランプのホヤ」に似ているからというのが有力のようです。
ホヤは生食が中心ですが、石巻地方では干したホヤを雑煮のだしにしていました。また、本吉地方では生や塩漬けしたホヤを、うどんやそば、雑煮のだしにしました。天然ものしかなかった時代には、浜の人たちにとっても贅沢な食べ物だったようです。天然ものは香りが強いのですが、干したものを使うことで雑煮や汁物の味を一段と引き立てます。
干しホヤは、夏に焼いて、カラカラに干し、正月に備えるのです。干すことでホヤの味と香りが増します。藁で編んだり、囲炉裏の上に吊った棚にのせていぶして保存します。「ホヤ雑煮」も、大根、ニンジン、ゴボウは皮をむいてせん切りにします。ゴボウは水にさらしてアクを抜き、ズイキはぬるま湯でもどします。これに大豆モヤシ、凍み豆腐、セリなどが入ります。