柿のり(柿練り)
宮城県の南部に位置する丸森町や白石市を中心に収穫されるコロ柿は、北海道などの県外に出荷されています。また、各家庭の屋敷周りに栽培されている柿は、皮をむいて「干し柿」にされるため、軒先に吊るされます。晩秋にはどの農家でも鈴なりに柿が実り、それが日の光に照らされ、鮮やかなオレンジ色に輝きを放ちます。
寒さが一段と厳しさを増すころには、吊るされた柿は季節風にさらされ、出来上がるのが待ちどおしい日が続きます。こうして出来上がったコロ柿は生の柿3個分にも相当する甘みで、砂糖が貴重品だった時代には大切な甘味料として珍重されましたが、その名残とも見られるお菓子が「柿のり(柿練り)といことなのでしょう。
「柿練り」は、その字から想像できるように、臼でついた米の粉と干し柿を練り合わせて作るもので、ほんのりとした優しい甘さであるため、子供のおやつにも適しているほか、みんなに珍重されています。干し柿を手で裂き臼やすり鉢でよくつき、これに米粉を混ぜてさらにゆくつき、耳たぶぐらいの柔らかさにします。生でも食べられますが、平たく延ばして炭火で焼くとより香ばしくなります。