高倉勝子美術館「桜小路」
昨年(2009年)10月にオープンしたこの美術館は、地元登米出身の高倉勝子さんが私財を投げうって建設したものです。高橋さんは、広島で原子爆弾を受け全身を負傷した被爆経験者で、管内に入るとずらりと「原爆の図」があり、原爆の悲惨な体験をリアリティ溢れるタッチで表現されて絵巻がまず目に入ります。
また、その一方で母子像や親子など農村を題材にした絵も展示されていて、地域に根差した作風にも心を打たれます。あたたかさと力強さが同居する作品の数々は、見るものを昔懐かしい世界に誘ってくれるような気がして、とても心が和やかになります。オープン後わずか半年というのに、入場者が1万人を超えたというのも頷けます。
館内には中央にソファーもおいてあり、アトリエを再現されていますので、落ち着いて鑑賞することができます。また、外観も登米市の武家屋敷などが立ちならぶ街並みに合わせて、なまこ壁蔵造りの建物になっているのもいい。この地区は明治村の一角でもあり、映画「パンド匵」のロケ地として使われた観光施設「春蘭亭」も近くにあります。