魚けい
「魚けい」とは唐桑地方の漁師が船で漁に出た時に食べていたもので、魚と煮た「魚粥」が訛ったもののようです。みそ味のご飯は珍しいが、携行に便利な調味料として漁師に重宝されました。「魚けい」は、漁師料理から家庭の食卓にも上るようになり、粥からご飯に、そして調味料もみそからしょうゆへと変化してきました。
脂っこい魚とみその風味が溶け合ってとても美味しい。もともと脂っこい魚は、他の食材との相性がよいのですが、メヌケは特に合います。メヌケは銚子以北の東北・北海道の太平洋岸で獲れます。水深200から1300mもの海底の岩礁に棲み、10年以経てやっと成魚になります。深海から引き上げられると水圧の変化で目が飛び出すので、メヌケと名づけられました。
今ではなかなか口にすることのできない高級魚ですが、気仙沼地方では昔はたくさん獲れました。昭和三十年代後半までは、全国の漁獲量は1万?以上でしたが、平成14年には967?にまで激減しています。メヌケの旬は秋から冬にかけてですが、くせがないので、他の食材と調和し、より旨みを引き出してくれます。生食、煮る、焼く、ご飯もの、アラ汁も美味しい。浜では頭を焼いて干し、叩いてすりつぶしてからみそで調味し、大根なますや木の若芽を和えて食べます。