ゆったりとした時の流れ
あっという間に1年が過ぎてしまいます。しかも、そうした実感は年を重ねるごとに高まってきますが、不思議なことにムサシを始めとするワンちゃん達との付き合いだけは、ゆっくりと経過しているように思われます。ムサシが旅立った年の夏のある日、ハウスから脱走したワンちゃんを交番に連れていったのも、つい先日のような気がします。
彼の家はちょうど私の散歩コースにあるので、いつも声をかけることができるのですが、2年ほど前のことでもあるためか、少しけげんそうな顔をしているのが印象的です。しかし、考えてみると、彼はあの日の翌日から今日に至るまで同じ顔つきだったような気がします。たぶん彼にとって、私の存在そのものが当時から疑問だったのかもしれません。
ただ、敵対的に思っているのであれば、2時間近くも私と同行するということはあり得ないでしょうから、もう少し友好的であってもよさそうなものだとも思うのですが、彼の態度は当時と全く変わらず、私の行動をじっと窺っているだけです。こうした微妙な距離が続いているせいなのか、世の中の動きとは全く別世界のように思われるから不思議です。