喫茶と食事 みどり
仙台市泉区黒松にある「喫茶と食事 みどり」。窓から見えるのは、桜の大木と、視界いっぱいに広がる樹々。自然に囲まれたカフェにいるようだが、実は住宅街の中だ。静かな時間のお伴に、身体への心づかいを感じるスィーツはいいがだろう。例えば寒い日には「生姜白玉汁粉」がおすすめ。生姜の搾り汁が香り、少しピリッとした味がして、身体がじんわり温まってくる。汁粉には、ミネラルが含まれているきび砂糖で味付けされている。白玉は、その日の朝に作られたもので、とろけるようにやわらかい。
日差しが温かさを運んでくる日だったら「白玉クリームあんみつ」を選んでみたい。特性のあんと白玉はもちろん、アイスクリームや寒天も手作りで、ほっとする美味しさがある。季節の果物は、さすがに購入しているそうだ。いつもの甘味に安らぎながら、少しづつ変わっていく自然と向き合うことは、季節の移ろいを愛でる日本人らしい楽しみもある。ところで、この店は「きなこロールケーキ」や「甘納豆のスコーン」など和の素材を使ったスィーツが大半を占めている。店内のテイストに今の時代を感じるのに、店名がどこかノスタルジックなことも意外だ。
もしかして、オーナーの祖父母の家の跡地に、この店ができたことが関係しているのかもしれない。週末(金曜から日曜)に供される「季節の和食」は、まさに故郷に帰ったような温もりのあるランチ。旬の素材がふんだんに使われており、塩分が少ないためで栄養バランスも良い。仕込みには時間がかかるそうだが、店長の青木夕子さんは「滋味あふれるものを食べていただきたいので、がんばっています」と元気いっぱいだ。今日の汁ものは、仙台雑煮の汁として知られる「ひきな汁」だった。郷土料理がさりげなくプレートの上にのっていることにも、心温まる。