たい焼Café Genkitai
ざるに並んだ焼きたてアツアツのたい焼き、粗熱がとれたばかりの白っぽい皮は、カリッととして、ほのかな塩味が効いている。この食感と味わいは、材料を厳選し、自家配合していることから生まれるそうだ。製菓専用の小麦粉「宝笠」や、旨みのある塩味で知られるヒマラヤ岩塩「レッドソルト」、奄美の素焚糖など、こだわりの素材が使われている。たい焼きの中身は、皮の味わいに合わせて選ばれている。定番の「小倉あん」は、北海道産の小豆を使用。数種類のチーズをブレンドした「チーズ」は女子高生に大人気だ。厚切りのベーコンやほしえび、キャベツなどが入った「お好み焼きたい焼」は、ランチとして食べていく人もいるそうだ。しかし、この店ならではの美味しさといえば、何といっても「小豆あん」だろう。
もともと、この店のオーナーの㈱里山林農元気村代表の竹内信雄さんをはじめとする、まちの人々の「登米市を元気にしたい」という気持ちから生まれたもの。オーナーが登米で育った自然の力いっぱいのミヤギシロメを使っている。里山の畑で育てられた豆だからだろうか、ほっこりと炊かれた栗の味わいに似て、滋味深い。「皮や『あん』の味は、オープン当初の作り方を引き継いでいます」と笑顔を見せるのは、2019年8月からこの店を任されている小野寺文さんだ。調理に携わる仕事をしたことがあるとはいうものの、カフェの仕事は初めての体験だという。「数年前から、『自分のカフェを持ちたい』と友人たちに話していたら、オーナーさんの耳に届いたようでした。
『たい焼きを作ってくれれば、内装や他のメニューは好きなようにしていいから、この店をやってみないか』と言っていただき、65歳にして夢が叶いました」と、弾んだ声で話す。小野寺さんの渾身のカフェメニューは、「大豆モンブラン」。大豆あんの栗のような味わいを生かし、生クリームを混ぜてモンブラン風のケーキにしたものだ。レパートリーは他にもあるが、大豆モンブランのリクエストが多く、ほぼ定番になっているという。小野寺さんは、手芸が趣味。店内には、小野寺さんはもちろん、友人たちの手芸品や写真が飾られている。たい焼Caféの中には、登米を盛り上げる人たちの気持ちが、びっしり詰まっているのだ。