どんなお正月でしたか?
年末恒例のNHK紅白歌合戦は、ゆく年とくる年を繋ぐ一大行事です。出場する歌手の顔も名前もよくわからないのに、眠い目をこすりながら、つい最後まで見てしまう。蛍の光の大合唱が終わると、いよいよ、ゆく年くる年のカウントダウンが始まります。オヤジはあの切り替りの時間が何とも言えないといいます。言われてみれば、確かに厳粛な気持ちになり、くる年が平穏無事であることを願わずにはいられない独特の空気が流れるように感じられます。わが家では、除夜の鐘の音を聞いて、新年の挨拶を交わしてから就寝するのが慣例になっています。特に誰かが言い出したわけでもないのに、ボクから見てもなかなかいい習慣だと思います。そして、元日の朝、目覚めて顔を合わせると、再び新年のあいさつをする。ここまで来ると、平成生まれのボクにはあまりピンときませんが、それでもケチをつける気にならないのはなぜでしょう。オヤジにその理由をきいてみたことはありませんが、もし聞けば、「神社にお詣するときは、二礼二拍手一礼という作法がある。それと同じだよ!」と答えるに違いありません。
この習慣を「儀式」とみるか、単なるルーティーンとみるかは別として、少なくとも、これが平和の象徴であるなら、わが家の伝統として残すことに誰も異論がないでしょう。文化は尊重すべきものであり、否定するものではあれません。どんなに国際交流が進んでも、宗教や伝統を尊重するという姿勢がなければ、平和な世界を築くことなどできないと思うからです。そうした価値観が共有出来ているからこそ、2020の東京オリンピックも開かれるわけです。1964年に開催された前回大会では、新幹線の開業、高速道路の建設など、戦後の復興を世界の人々に見ていただく絶好の機会となりました。もちろん、出場した選手たちも、持てる力を存分に発揮し、金メダルを30個獲得するなど輝かしい活躍ぶりでした。今回も前回を上回る好成績が期待できるという前評判も高く、開会式が待ち遠しい限りです。わが家でもテレビ桟敷から大声で応援する準備を整えています。でも、優勝劣敗は世の常ですから、選手のみなさんは、あまりメダルにこだわらず、力いっぱい正々堂々とフェアプレーの精神で戦っていただきたいと願っています。
オヤジは、オリンピックは早く来て欲しいけど、来年のお正月はなるべくゆっくり来て欲しいと言っています。変な理屈ですが、言われてみれば、2020の東京オリンピックが決定して以来、お正月は瞬く間に来たのに、オリンピックはようやくやってくるという感じがします。しかしこれは、「見たくないものを観ないようにする」という脳の作用で、異次元の時間概念とでもいうべきものかもしれません。ともあれ、そうした自分と長年付き合ってきたわけですから、無理にその謎を解き明かそうとせず、素直に受け入れる方が前向きになれるのかもしれません。要は楽しいことも悲しいことも必ず来るので、大いに楽しみ、そして悲しむことが、生きとし生きるものの定めだと思えば、乗り越えられない壁などないと思えてきます。そして、そのことを確かめるために、世界最大のスポーツ・イベントであるオリンピックを心から楽しみ、みんなで文化交流の輪の中に飛び込みましょう。そうすれば世界平和の尊さが胸にしみるはずです。東京オリンピックが開催される今年、みなさまにとって、とっておきの良い年になりますようお祈り申し上げます。