宮城のセリ
セリは宮城県の伝統野菜として知られ、全国でもトップクラスの生産量を誇る。約7割を生産する名取市の他、石巻市の河北地区などでも栽培されている。最近は宮城の新たな名物として「セリ鍋」が登場し、人気が高まっています。名取市では主に上余田地区と下余田地区でセリを栽培し、宮城県内だけでなく全国各地へ出荷しています。それぞれに「上余田芹出荷組合」と「下余田芹出荷組合」があり、上余田は約5.5ha、下余田には約8haのセリ田が広がる。
セリは田んぼに水を張って育てる。名取市のセリ栽培の要となっているのが、田んぼに張られた名取川の伏流水。上余田芹出荷組合長の今野幹男さんは「名取川の水はミネラル分が多く鉄分を含まないので、みずみずしくきれいな緑色のセリに育ちます」と教えてくれた。4月から5月にかけて順次、セリの種となる「種ぜり」を植え始める。7月から8月に成長するセリは8月から店先に並ぶ。
気温が高くあっという間に育って収穫される夏セリよりも、低温でじっくりと時間をかけて育つ冬のセリの方がより旨み濃厚だという。東日本大震災後、宮城県の新たな郷土料理として「セリ鍋」が流行している。県内の飲食店で冬の定番メニューに仲間入りしてから、セリの需要が高まる一方だ。「葉はさっと湯通しする程度がベスト。最近人気の根っこは鍋もいいけれど、天ぷらなどにしてもこりこりした食感がおいしい」と今野さん。セリ鍋の他に、しゃぶしゃぶやお浸し、みそ汁などで味わうのもお勧めだ。