わが家にも裁量労働制を
最近働き方改革が話題になっているようですが、仕事の内容がより複雑になってきたため、働いた時間と成果が昔のように一致しなくなってきたというのが、この議論の根底にあるようです。そこで登場したのが「裁量労働」という考え方です。この働き方は、決められた労働時間内に与えられた仕事をこなすという定型的なものではなく、成果を念頭に労働者が自分の裁量で働き方をデザインするという考え方ですから、何時間働いたかが問題ではなく、どれくらい成果を上げたか(労働の質)に焦点を当てて人事管理をすることになるのでしょう。もともと、働いた時間だけで評価するのはあまり合理的でないということは、気づいていたはずですが、年齢が高くなるにつれ生活費も増すという構造を考えると、一気に成果主義に移行するというのも難しかったのでしょう。
労働時間や裁量労働などという言葉が、テレビや新聞で取り上げられるようになった背景には、少子高齢化による労働力不足、女性の能力活用などがあるように思います。そして、今や女性の能力は経済社会だけにとどまらず、スポーツ界でもいかんなく発揮されています。こうなると、女性の存在感はますます大きくなり、家事を共同あるいは分担して行うべきだという主張が強くなってきました。オヤジは、お母ちゃんから何時こんな主張をされるかと内心ハラハラしています。というのは、オヤジは家事が苦手なのです。先日も、テレビで「小さな家事(ゴミ拾いやエアコンの掃除)」について、夫はどれくらい実行しているか? というアンケートの結果が話題になっていました。仕事を終えてから夕飯の食材を買いにスーパーに走り、家に帰ると休む間もなくすぐに調理を始める。
その合間を縫って、洗濯ものを取り込んだりお風呂にお湯を張ったりなど、オヤジにはとてもできない芸当です。疲れて帰ってきた時などは当然機嫌もよくない。それがわかっていても大した手伝いもできないし、たまに手伝おうとしても、「じゃま」と言われるのが関の山です。ただ、そんなオヤジにも、ほんの少しだけ弁解したいことがあります。それは、自分も「裁量労働」をしているのだと言いたいようです。言われてみれば、オヤジの仕事は、分析やアイディアを組み立てて提案する仕事なので、労働時間が長ければいい成果が生まれるというものではありません。お母ちゃんはそのことを十分に理解してはいるのですが、オヤジにしてみれば、お母ちゃんの仕事ぶりを見ていると、声高にそれを宣言する勇気がありませんが、できれはわが家にも「裁量労働制」を導入してもらいたいと思っているようです。