おでん こうぞう
一口におでんと言っても、だしから種に至るまで、その味わいやこだわりは店によって千差万別。最近では宮城県内各地で、地域の特色を生かしたメニューも登場している。この時節恋しくなるのがおでんです。仙台市青葉区の人気店「おでん こうぞう」の店主・河田幸三さんは、「おでんの屋台を開きたい」という思いを胸に、働いていた居酒屋から独立後、2014年に店を開いた。16席ほどのこじんまりした店内は、連日たくさんの客でにぎわいを見せる。
目当てはもちろん、定番から変わり種16種用意された自慢のおでんだ。おでんの命はだしと河田さん。色々なおでん屋を食べ歩いたそうで、種の個性に負けていないかどうかでその店の味を見極めてきた。「昆布やかつお節などの風味を引き出してこそ、種の味わいが活きてきます」。宮城県内でも、名産の蒲鉾などが具材として入る「塩釜おでん」、地元の練り物に着目した「石巻おでん」プロジェクトなど、お伝文化が広がりを見せている。
洋風おでんを提供する店も増えてきた。「店では最近、地元ワイナリーのロゼワインとのマリアージュも提案しています。変わり種おでんとして、おでんだしにくぐらせて仕上げる仙台牛やカキも人気。色々なおでんの形が生まれ、嬉しいです」。鍋に張られた黄金色のだし汁に浮かぶおでん種。立ち上がる湯気をかき分け、今宵の晩酌のお供をじっくりと品定めしよう。