Ciel étoilé
もとは立町の小野寺横丁で、わずか6席のカウンターのみのスタイルから始まった『シエルエトワレ』。平成27年、「COMICHI」として再生して松川横丁へと移転し、大きな開口から店名である星空を望む、美しい空間となった。シェフである西條さんが作るのは、長年培ってきた伝統的フランス料理の手法をベースに、地場の魚介や野菜、自家製の加工品などを活かした石巻流のフレンチ。素材やワインとの相性がいいと思えば、イタリアンや日本的洋食のエッセンスも闊達に取り入れる。
味わいの要であるフォンやソース、その確かな仕事を堪能するならやはり、メインを魚料理または肉料理からチョイスできる3800円コースか、両方を楽しめる4800円のコースがいい。しかし、アラカルトも豊富なので、不意に思い立った夜でも十分に楽しむことができる。今宵のスペシャリティは、6℃で20分ほど火を入れた石巻産真鱈のコンフィ。燻煙をかけてソテーした牡蠣とジャガイモのピュレを合わせ、葉は軽くソテー、茎根はフリットにしたセリを添えた。
層を成すファクターを一度味わえば、ふっくらしっとりとした真鱈に芳ばしい牡蠣とセリの香味や鮮やかなインパクトを加え、ジャガイモのピュレが後口を穏やかにまとめ上げる。トスカーナの「ラルコ・ドルチェ・ヴィーテ」で追いかければ、そのエレガントでしなやかな味わいが海幸の余韻をふっと呼び戻してくれる。自家製生ハムの熟成した旨みとともに含めば、シラー特有のスパイシーな果実味がさらに強調される。