今が旬の「たら」
寒さが本格的になってきた今頃が旬のたらですが、実は1年を通じて水揚げされています。でも、やはり、寒い日には「たらちり」などの鍋物は、この時期、特に恋しくなる人も多いのではないでしょうか。特に美味しいのは、産卵前の11月から1月にかけて水揚げされるものは、「寒だら」と呼ばれたり、漢字で「鱈」と書かれたりするように、たらは寒さが厳しくなり、雪が降るころに、旨味が増してきます。仙台市場では、1月から2月が入荷のピークで、今年は比較的順調だということです。日本近海のたらの仲間は、90種類以上いますが、一般的に流通しているのは、マダラ、スケソウダラ、コマイ(氷下魚)の3種類て、白身のあっさりとした味わいは、和洋中どんな料理にも相性抜群です。
切り身のたらを使って料理する場合でも、骨が少なく、加熱しても柔らかいままなので、魚料理の初めの第一歩に、ぴったりの食材です。テフロンのフライパンやホットプレートを使った料理は、そのまま食卓に並べることもできます。たらは脂肪分が少なく(0.4%)、お年寄りや胃腸の弱い方でも無理なく食べられます。繊維タンパクが大半を占めるため、ほぐれやすく、加熱しても固くならないので消化の良い食材です。旨味成分のインシン酸やグルタミン酸が豊富なため、淡泊ながらとても美味しい魚です。豊富なビタミンAは、のどや鼻などの粘膜を守り、風邪を引きにくくしてくれます。身がピンク色がかって透明感があり、血合いが鮮やかなものを選びましょう。
たらは身の水分量が多いため、鮮度が落ちるのが速い魚です。一般的な魚は70%程度ですが、鱈は83%もあります。調理する前にはキッチンペーパーなどで水分をしっかり取るのがポイント。また、塩を振って水分を減らすと、身もしまっておいしくなります。たらの独特のにおいの元になっているのが、「トリメチルアミドオキシド」。これは魚の旨味成分の1つで、分解がすすむと「トリメチルアミン」という成分に変わります。また、深海に生息するたらは、エサを見つけ次第「たらふく」食べて効率よく栄養にするために、胃の中に強力な消化酵素を持っています。死ぬとその酵素が自分の体も分解するため、腐敗が速い。買ってきたらすぐに調理するようにしましょう。