本格酒処 シマウマ酒店
格子のガラス戸から、あたたかな灯が街角にこぼれるシマウマ酒店の引き戸を開けると、どこか懐かしい空気に包まれる。女性も入りやすそうですねとお聞きすると、「女性お一人という方も多いです。年齢は20代から60代までと幅広くて、月曜から木曜が男性、金・土が女性と、ほぼはっきり分かれます」と、シマウマ模様のエプロンを付けた真壁厚子さん。レトロな雰囲気とともに店内に満ちているのは、食欲をそそる中華の香りだ。シマウマ酒店はふらっと一人で入って、中華と日本酒が楽しめるお店。
真壁さんが全国の銘柄から選んだ純米酒約20種類を、半合(90㏄)一律400円でいただける。半合だから多くの種類を楽しめるし、日本酒の苦手な人にもとっつきやすい。しかも、ユニークなセルフ方式を採用している。自分で選んだお酒を、自分でお燗をするのが楽しい。もちろんわからないことは真壁さんにきけばいい。「純米酒のお燗、おいしいんですよ」。中華料理に合うものということで、味わいのコントラストが明確な西日本の銘柄が多いそうです。中華料理一筋の親方が作り出す小皿料理は、歯触りもシャキシャキした「豆苗炒め」など多彩。日本酒は最高の食中酒と聞くが、うなずける。
おすすめの酒はという問いかけに、「神亀です。アルコールを添加したが特に主流だった時代に純米酒を造ることを決意し、立ち上がった埼玉の酒蔵です」と、思いを込めて話してくれた。結構ボリュームのある小皿中華は、500から600円中心とリーズナブル。一人でもグループでも、気軽に足が向く価格設定が嬉しい。お勘定もユニークで、飲んだら一杯ごとにビー玉一個を用意されたコップにコロリンと入れる。3杯飲んだらビー玉3個、それでお勘定。遊び心満載の小さな工夫が、思わず微笑みを誘う。童心にかえってほっこりとできるのがいい。これからの季節はカキの豆鼓炒めなど冬の食材を使ったメニューで、新酒との組み合わせも楽しめそうだ。