白鳥神社
創建1213年、樹齢3千年という縄文ケヤキのある古社が、仙台から南へ車で1時間足らずの村田町にあります。蔵王連峰から流れる荒川にかかる太鼓橋を渡り、朱塗りの明神鳥居をくぐれば、それほど広くはない境内には縄文ケヤキの他にも、樹齢千年以上ともいわれる奥州の蛇藤やシラカシ、そして大イチョウ。巨木の社とでも表現したくなるほどの古木に次々と出会い、驚きます。「古来、地域の守り神が鎮まる場所とされてきた神社は、いわば神の杜です。神社の『社』という字も、もとは『杜(森)』でした。神社の森はまさに自然そのもの。殺伐とした現代社会の中にあって、人々に"安らぎ"を与える癒しの場、それが鎮守の森といえましょう」とお話くださったのは、村田守広宮司。
村田宮司は竹駒神社の権宮司を務めた方です。この森には"ふくろう"が巣をつくり、きつねやカモシカも棲んでいる。「森も生き物も人も、地域はすべてつながっているのです」。大震災前年の暴風により折れた大イチョウの幹から、若木がまっすぐに空へと伸びている。白鳥神社の祭神は、日本武尊(やまとたけるのみこと)です。東国を平定し、都に帰る途中で没した尊のご苦労を偲んで、お父様の景行天皇(けいこうてんのう)が行幸され、地方鎮護の神として御神霊をお祀りされたと伝わっています。
白鳥の社名は、尊の陵墓を築いて后や御子たちが歌を詠ったところ、白鳥となって飛び立ったという古事記の説話に由来するものです。白鳥神社には貴重な巻物や古文書も保管され、空海、八幡太郎義家の由緒の数々も伝わり、長い歴史がそこはかとなく感じられます。2千年、3千年と人々の営みを見守ってきた木々が、浄く豊かな空気を送り出す、まさにここは霊域です。「神道は神代から現代(中今)、そして未来へと続く大自然の理(ことわり)の道であり、古くて新しい道です。そこに行って、そこで感じて、祈りをささげてください」という村田宮司の言葉が心に沁みてくる。