仙台まちなか神社めぐり(その1)
地元の人に愛されてきた緑濃い静かな境内 春日神社:覚性院丁と呼ばれた通りから小さな参道が延びている。何段か階段を上った先に、木々におおわれた静かな境内がある。伊達氏以前にこの地を治めていた国分氏にゆかりの神社で、明治初めまでは覚性院という寺もあった。参道は途中、江戸時代初期から城下町を潤した四ツ谷用水の本流を横切る。かつてはさらさらと水が流れ、野菜を洗ったり子供たちが水遊びする風景があった。奉賛会の今野喜一さんは、神社のまわりで繰り広げられたそんな暮らしを絵に起こし、看板にして参道に立てた。「遊ぶのはここ、出征するときの壮行式もここ、防空壕も掘ったんです」と話すように、神社はこの町の中心にあった。ゆっくりとお参りして、温かい交流のおすそ分けにあやかりたい。
次は、しぶきを上げる白滝がお参りの人々の心を受け止めてくれる 三居沢不動堂:鳥居をくぐったとたん空気が変わった。森の奥に入り込んだような冷気と木の匂いに包まれる。お堂のわきを奥に進むと、白滝がしぶきを上げ、崖の上から滑り落ちている。毎月28日のご縁日にはご祈祷が行われ、毎回数十人がお参りに集う。お世話をするのは、奉賛会の方々だ。「生きていればいろんなことがある。それをここで吐き出せば少し楽になるんです」と話すのは会の代表の庄司恒治さん。祈祷の後、会の女性たちはお手製の料理を広げ団欒する。それも楽しみのようだ。由緒はつまびらかでないが、境内の最古の石碑には寛永11年(1634年)の文字。庄司さんによると、昭和40年頃まで滝に打れ修行する人の姿もあったという。江戸時代初めから崇拝を集めた滝は、いまなお枯れることなく人々の心を清め続けている。
商店街のお不動さま 三瀧山不動院:いつも賑わっているクリスロード商店街の三瀧山不動院は、酉年の守り本尊として広く知られている。慶応元年(1865年)、住職のタケ尼律師が眼病平癒を祈願し、その満願の前日、4寸ほどの不動尊を拾い上げた。この像を床の間に安置したところ、律師は神懸り状態となり、人々の信仰を集めるようになったことが開山の縁起と伝わる。真言宗の寺院だが、市中心部という場所柄、鉄筋コンクリートに改築されている。仲見世を抜けた突き当りに本堂があり、二階には十二支を守る八体仏が安置されている。7月27・28日に開催される大祭では、豪華な山車が商店街を巡行する。