ささかまぼこ
宮城県は海に恵まれ、各地に優れた漁場と漁港があります。ささかまぼこもこうした環境の下で生まれた特産品です。県内の気仙沼、石巻、塩釜、閖上(名取市)の各漁港では明治中期ころ、ヒラメのほかスズキ、タイなどが大量に獲れ、捌ききれないほどだったという。輸送方法も発達していない時代で、獲れすぎた魚を活用した加工品の開発が急務だった。そんな状況から同時発生的に各漁港で始まったのが「焼きかまぼこ」でした。
それまでは家庭で魚をすり鉢ですって、手のひらに乗せて形を作り、竹串に刺して炉辺で焼いていたという。つまり、手のひらでたたいて笹の葉形に姿を整え、炭火で焼いて売り出したのが「ささかまぼこ」「ベロかのぼこ」などいろいろだった。「ささかまぼこ」に統一されたのは近年のことです。その後、原材料のヒラメの漁獲量が激減し、現在は高級品を除き殆んど使われていない。それに代わり、スケソウダラなどの白身魚が漁場で冷凍する身にされ、主原料となっています。
ささかまぼこは現在、宮城県を代表する特産品であり、加工品としてその名は、県内外はもちろん海外にまで知られています。包装技術の進歩や衛生的な製造工程の確立、輸送方法の発達などで保存可能な期間が長くなり、大いに消費拡大につながっています。味が淡白で、良質なタンパク質が多く含まれ、しかも低カロリー食品であることが特徴です。そのままワサビ醤油で、あるいは大根おろしや木の芽みそ和え、野菜と合わせてサラダに、さらにはかき揚げ、おでんなどとして手軽に食べることができ、多くの人に愛される食品になっています。