峩々温泉の紅葉
青根温泉から県道255号(県道青根・蔵王線)を蔵王エコーライン側に抜ける途中の濁川渓谷沿いある一軒宿、ここがこのエリアでは一番奥まった場所にある峩々温泉です。道を奥へ進んでいくにつれて上りだった道路は下りへと変わっていき、紅と黄色に染まった山ひだが深く折り畳まれた谷あいの渓流沿いに、いくつかの棟が身を寄せ合っている秘湯、峩々温泉です。1876年(明治9年)の開湯で150年の歴史を持つ峩々温泉は、群馬県の四方温泉、九州の湯平温泉とともに日本三大胃腸病の名湯です。
湯治宿としての歴史が長く、「かけ湯」「飲泉」「入浴」の3つを基本としていて、日本秘湯を守る会の会員でもあります。あつ湯とぬる湯、露天風呂など6種類の風呂があります。石段を下りた渓谷沿いにある混浴風呂は、古き良き温泉文化の名残を留めています。目の前にそそり立つ岸壁と、それを縁取る森の鮮やかな色彩は一幅の絵を思わせる美しさです。料理も地元の食材をふんだんに使った和食が主で、素材は季節の旬によって変わりますが、中でも清らかな蔵王の水で育った岩魚の塩焼と骨酒は、一度は味わいたい逸品です。
「峩々」とは山や岩が険しくそびえ立つ意味ですが、蔵王山麓の標高850mに位置する宿だけに、登山を始めとしたアウトドアも楽しめます。遠刈田岳や熊野岳へのトレッキング、青根温泉まで全長6㎞のノルディクウォーキング、そして肉眼で天の川が見える星空観察会など、様々なアウトドア・アクティビティが用意されています。その昔、峩々温泉の送迎のために走っていた「銀嶺号」というボンネットバスも今はなく、建物も少し前にリニューアルされましたが、湯治宿の精神は脈々と受け継がれています。