言葉づかいには気をつけないと
先日寄稿した文章のなかで、「塩釜は、幸いにして大きな被害はありません」というくだりがありましたが、「幸いにして」とは、その反対側には「不幸」があるときに使う言葉だと思うのです。優勝劣敗は世の常とは言いながら、スポーツなどの勝者の喜びようにも多少違和感を覚えることがありますが、ましてや、自分のところが災禍から免れたことを喜ぶのはやむを得ないとしても、災禍に見舞われた人達に対してすこし配慮が足りなかった気がしました。心よりお詫び申し上げます。
ところで、自分のことを棚に上げて言うのは大変恐縮なのですが、最近よく出てくる言葉で「違法ではないが、不適切である」というのがあります。言葉どおり解釈すれば、よくないことではあるが、法律では禁止されていないということになるのでしょうか。確かに、なんでもかんでも法律でがんじがらめにされるのは、息苦しいので、共感する部分もある一方、本来は不適切なことを禁止するというのが、法律の趣旨ではないのか?という疑念も禁じ得ません。
ともあれ、ボクたち庶民の感覚としては、国政選挙であれ何であれ、立候補する以上は、「不適切なことは致しませんと」宣言して有権者の支持を呼び掛けているわけですから、「違法でなければ問題ない」という態度自体が問題で、立候補する資格が元々なかったように思うのですがどんなものでしょうか?政治家ばかりではなく、芸能人の場合もファンを裏切ったという意味では同じです。ケースは色々ですが、最近のスキャンダルはこうした便利な(不便な)言葉を巡る攻防に終始しているように見えて、あまり愉快ではありません。