戻りがつお
かつおは回遊魚で、はるか赤道の南で生まれます。5月頃に店頭に並ぶかつおは、「初がつお」とよばれますが、最適な水温とえさを求めて太平洋を北上し、宮城県では6月頃から本格的に水揚げされるようになります。その後、夏から秋にかけて、水温の低下とともに南へ戻りますが、三陸の良好なえさばでたっぷり食べ、脂の乗った状態が「戻りがつお」というわけです。
この頃になると、脂の乗ったかつおが気仙沼や石巻、塩釜で安定的に水揚げされ、よく食卓に乗るようになります。刺身や照り焼き、煮つけなど多彩な調理方法がありますが、「かつおの叩き」や「戻りがつおの手ごね寿司」なども人気があります。また、かつおに含まれるたんぱく質は、他の魚に比べても豊富です。旨味成分のイノシン酸が多く含まれていて、独特の旨味を引き出します。さらに、魚の中ではトップクラスのナイアシンは、血液の流れをスムーズにし、肌の新陳代謝を活性化させるほか、二日酔いを防ぐ働きもあります。
その他、ビタミンB12貧血の予防にも効き、血合いの部分は特に栄養がありますので、夏バテ防止にも最適です。いきの良さが命のかつおの見分け方は、丸ごと一匹の場合、シマ模様がはっきりしていて、目が澄んで浮き出ているもの。エラの後ろを指で触って、ハリのあるもの。刺身は、血合いがはっきりしているもので、トレーを傾けたときに水がでないもの。また、脂ののっているものは、皮の内側に白い脂の層が見えます。