県南のホッキガイ
県南の亘理・山元町では、「ホッキ飯」が郷土料理として親しまれていますが、その主役であるホッキガイが特産品になっています。ホッキガイの身は熱を加えると鮮やかな紅白になることから、結婚式などの祝い料理に使われます。貝の王様といわれるホッキガイは12月から3月までが旬で、シーズン中は家庭や飲食店で昔から食べられていますが、先の震災で大きなダメージ受けました。
ホッキガイの産地の一つである山元町の磯浜漁港は、東日本大震災前までは、県内一の水揚げ量を誇っていました。しかし、震災の津波による影響でホッキガイ漁ができなくなり、やっと、昨年から再開されました。以前は、マンガ(鉄製の籠)を海底に沈めて船で引く漁法でしたが、今は海底のがれきが引っ掛かりにくい漁法「噴流式マンガ」で採捕する取り組みも行っています。
震災後、初出荷となる今季は1日当たり役80㎏が水揚げされていますが、市場に出回るのはわずかです。地元では、山元町農産物直売所「夢いちごの郷」で3月まで販売されています。宮城県漁業協同組合仙南支所(山元)運営委員会副委員長の岩佐敏さんによると、「わずかな量でも、採れるホッキガイは、大きくて肉厚です。9.4㎝以下の小さいものは再び海に放流し、水産資源を守っている」という。