初午まつり「火伏せの虎舞」
加美郡中新田町は、早春から初夏にかけて、奥羽山脈からの強風が吹き、昔から大火に見舞われることがしばしばありました。この災禍を逃れようと願い、稲荷神社の初午まつりに虎舞を奉納したのが「火伏の虎舞」です。650年の伝統を持つこの祭りは、中国の故事「雲は龍に従い、風は虎に従う」に傚い、虎の威を借りて風を鎮めようとしたものだという。
人間が扮した虎が色鮮やかな山車とともに町内を踊りながら練り歩きます。見せ場は、高屋根に登り風をからだいっぱいに受け止め、舞う勇壮な虎の姿でしょう。虎の踊り手は地元の中学生たちですが、彼らも大人たちから指導を受けるにつれ、祭りの魅力に取りつかれ、次第に顔つきが変わってきたということです。このようにして、この祭りは、今後も
地域の人々に受け継がれていくことでしょう。
今から650年ほど前の文和3年(1354年)、戦国時代の大名で陸奥大崎5郡を治めていた大崎義隆公の始祖、斯波家兼公が奥州探題として統治に赴任し、現在の中新田町に城を築きました。そして、氏神として稲荷明神を城内に祀り、毎年、初午の日に祭礼を行いました。これが初午まつりです。中新田の虎舞は、地元の消防団が受けついでいるもので、全国でもここだけです。