ムサシの幸福感
わが家のムサシは無類の大食漢でした。特にリンゴと焼肉には目がなく、じつに美味しそうに食べるのが今でも印象に残っています。しかし、一緒に食べている私たちが食べるのをやめると、もう食事は終わりだと考え、特にもう一切れなどとねだることはありませんでした。最初はあきらめがいいのかと思いましたが、決してそうではなかったようです。これがムサシ流の処世術だったのです。
我々は、何が幸せかと問われれば、衣食住が安定していること、家族が安心して暮らせる環境が整っていること、そして、毎日が充実して過ごせると、などと答えるかもしれませんが、ムサシにとっては、そういう人間の生活ぶりを見守りながら、みずからも、そうした生活に付き合って生きることが、幸せのスタイルのようです。そうしたステータスがあるから、決して高望みをしないのでしょう。
そう考えると、ワンちゃん達の行動の全てが納得できます。例えば、私たちがピンチになったとき、わが身の安全さえも顧みず飼い主を守る行動に出ます。わが家のムサシも私たちを喜ばせることが大好きです。というより、それが生き甲斐であるようにさえ見えます。そんな相棒だからこそ、長く付き合うことできたのでしょうし、これからも永遠に付き合い続けることができると確信できるのでしょう。