伊達な味処 割鮮浅羽
鮮魚をさばき、生のまま食すように調理することを「割鮮」というのだそうです。活きのいい魚や旬の料理を引き立てる旨い酒が揃う店、それが国分町に戻ってきた「割鮮浅羽」です。今度の店の特徴は、親方の冴えた包丁さばきによる日本料理と、長年培った技ありの旨いそばが味わえるところです。とりわけ、常連客を喜ばせるのが「ふぐ料理」です。
すっぽんも芹鍋も捨てがたいが、それでもこの季節、一番人気はなんといっても本場長崎から取り寄せる上等なとらふぐです。
赤絵の皿の模様が鮮やかに透けて見える見事なうすづくりの刺身は、こりこりした歯応えとクセのない味わいはふぐならではの醍醐味です。もう一品のおすすめは「ふぐのぶっち切り」。厚く切ったふぐの身を柚胡椒や辛み大根とあえて頂きます。ばりばりと甘みのある白菜に乗せて口に運べば、食感と味のバランスが何ともいえません。3品目は温かい蒸し物。まっ白く蒸し上がったふぐの身はふっくらとして味わい深く、甘酸っぱい餡との相性もぴったりです。時によってはこれに濃厚な白子が入ります。
ふぐの旬は秋の彼岸から春の彼岸までと言われています。なかでも白子を持つ極寒の2月は最高の季節で、ふぐちりもよし、焼きふぐよし。「骨にどれくらい身をつけておろすかが、微妙な違いで味が全く違います」。ふぐを知り尽くした親方ならではの絶妙な料理が寒い夜を至福の一夜に変えてくれます。締めは雑炊、と行くのが常道でしょうが、手打ちそばで、というお客様も少なくないのが、浅羽らしいところでしょう。