志津川湾産のかき
東日本大震災から間もなく4年になろうとしていますが、壊滅的な被害から立ち上がり、復興に向かって力強く歩み続ける生産者のみなさんによって、安全でおいしいかきがまた食べられるようになってきました。宮城県は震災以前、海面養殖では日本第2位の収穫量を誇っていましたが、津波の被害により激減し、450tあった生産量が、2011年には全く出荷できなくなりました。
その後、県内外からの支援によりかき処理場が再建され、翌年から少しずつ回復し、震災から4年目を迎える今年は、350tあまりの収穫量を予定しています。志津川湾に面したかき処理場をのぞいてみると、生産者のみなさんが、手早く殻を剝き、身を取り出している姿を見学することができます。特別に剥きたてのものを試食させてもらうと、ぷりぷりとした舌触り、天然の塩気と甘みのバランスが絶妙で、おもわず笑顔がこぼれました。
「震災後は県外の取引が少なく宮城県産かきの価格が安値で推移し、なかなか値段が戻らず苦労しましたが、今年は順調だということです。震災前よりもおいしいかきに育っていると思いますよ」と、志津川カキ養殖部会会長の行場文博さんは話しています。志津川産のかきが甘くて大きいのは、志津川湾の自然環境にあるようです。志津川湾は生活排水を含む大きな川がないため、貝毒が発生しにくく、衛生面でも優れたかきになるそうです。