竹工芸館
大崎市岩出山では、地元産のしの竹を使って、地域に根ざした竹工芸品づくりに励んでいます。岩出山の竹細工の歴史は古く、江戸時代に4代城主の伊達村泰が京都から職人を呼んで、藩士の手仕事として奨励したことに始まり、以来、家庭内内職として連綿として伝承されてきました。竹細工指導員である千葉文夫さんによれば、現在でも町内に50人ほどの竹細工職人がいるということです。
千葉さんも二代目で、以前は鍛冶屋兼鉄工所のかたわら、竹細工を続けてきました。そのおかげで、竹細工に必要な道具である「ナタ・ヒコ」なども自分用に一工夫されているから、思い通りに作れるのだそうです。岩出山の竹細工は、正確にはしの竹細工といい、地元でとれるしの竹の皮で作られます。つるりとした表皮を内側にすることで水はけがよく、外側は皮の裏になるから指先にやさしいという。
機能的な編み方も、しの竹細工の大きな特徴と言われますが、実際に手に取ってみると、改めてそのことが実感できます。竹工芸館では、職人さんが注文の竹細工を作っている様子を見ることができます。その中には、竹ざるの勉強をしたくて全国を探し回りようやくここにたどり着いたという若い女性や定年後に職人を目指しているという方もいました。使い込むほどに艶が増し、あめ色になるところに魅了されたのでしょうか。