ムサシの世評
わが家のムサシは、あまり他人のことをとやかく言うのは好きではないタイプです。しかし、そのムサシが珍しく自説を披露しました。それは、日本人のモラール高さについてです。サッカーのワールドカップなどでも、試合を観戦したあと、日本のサポーターはゴミを袋に入れて持ち帰る。このことについて世界の人々から賞賛されていますが、ムサシの意見は少し違います。
確かに、褒められることは嬉しいし、日本人としては誇らしい限りです。ただムサシが言うには、「あの大震災の直後でも、順番に並んで支援物資を受け取っている様子がテレビで放映され、あれほどの災禍に見舞われながらも、秩序を保とうとしている」という評価には少し誤解があるというのです。あれはモラールではなく、過去の経験に学んだ知恵であり、学習効果の賜物なのだという。
日本人は昔からお行儀がよかったわけではなく、過去には醜い奪い合いをしたが、結局実入りが少なかった。その反省から、一定の秩序を保った方が結果的に得であるという結論に達しただけなのである。もちろん、誇りに思うことはよいことですが、有頂天になりすぎてはいけないということのようです。むしろそうした経験を率直に伝えることで、世界の人々のモラール向上に寄与することが大事ではないかといっています。