ほんとうの思いやり
先日、ある会社の社長さんが、新入社員に対して1万円を親孝行料として支給しているという記事が新聞に載っていました。景気が低迷している時期には、経費節減のためこの制度を廃止すべきだという意見が他の役員から出たが、それならばと、その社長さんは、ポケットマネーから拠出し、現在も続けているという。当然、社員の親たちからは感謝されているとのことです。
その話をオヤジから聞いたお母ちゃんは、私もできるものならそうしたいのだがと、ポツリといった。それを傍で聞いていたムサシは、「お母ちゃんには、お母ちゃんなりのやり方があるのだから、落ち込むことはないよ!」と慰めていました。何気ないひとことですが、さすがは看板犬、経営者の胸の内をよく観察しているなと、いつもながら感心させられました。
そういえば、家族が好きな漬物や煮物などをつくり、届けさせるというのは確かに形の変わった親孝行に違いないと考えれば、ムサシの言うとおりなのかもしれません。しかし、こうした言葉が、タイムリーに出せるのは、やはり、常にその行動の意味を考えていればこそだと思いました。もちろん、お母ちゃんは、勇気百倍でいつものように店に向かいました。