まちどうしいリンゴの便り
最近は、野菜や果物の種類も豊富になり、食べたい時にはいつでも買い求めることができるのでとても便利です。その分季節感がなくなったのは少し寂しいような気がしますが、それは、贅沢というものでしょうね。ただ、旬の味というものには特別なものがあり、やはり、どこかに季節を感じると、ホッツするものです。わが家のムサシも同感のようです。
彼は、幼い時から歯ごたえのない柔らかな果物は、どちらかというと好みではないようですが、それでも味にはかなりうるさいのです。その割にリンゴだけは、味よりも歯ごたえを優先するのか、それとも、"リンゴ"という果物は別格なのかはわかりませんが、とにかく、私たちが顔をしかめるような酸っぱいリンゴでも、美味しそうにペロリと平らげます。
そんなわけで、わが家では今でもムサシの遺影の前のリンゴだけは年中欠かせません。それでも、この季節になると、福島や岩手から届くリンゴを心待ちにしている様子はよく解ります。新しいリンゴは少し渋みもありますが、ムサシにとっては、それも季節を感じる大事な要素なのかもしれません。今年も、ムサシの喜ぶ顔を見るのが今から楽しみです。