動物たちの悲しみ
戦時中のある時期、動物たちは軍用に駆りだされたり、殺処分されたりと散々な目にあった。上野動物園には、当時ジョン、花子、トンキーの3頭のゾウが飼育されていましたが、殺処分されることになり、毒入りのエサを与えようとしましたが、ゾウたちはこれを察知し、注射もむりであることから、やむを得ず、エサを与えないで餓死させることにしました。
また、熊本動物園では、軍隊の食料にするため、電気を通したプールで感電死させようとしましたが、やはり危険を察知してプールに入らなかったので、やむなく飼育員が電気を口の中に差し込んだということです。一方、園長などの計らいで、難を逃れた名古屋市東山動物園のゾウたちは、戦後、「ゾウ列車」を通じて、各地の子供たちと交流できました。
もちろん、戦争の犠牲になった動物たちはほかにも数多く、戦地で活躍した犬やハトたちも、苦難な道をたどったようです。食糧難だった当時を考えれば、飼料の確保も切実な課題であったことは理解できますが、戦争の犠牲になったことは心にとどめておかなければなりません。わが家のムサシも、この話については、終始目を閉じて聞き入っているだけでした。(平成25年8月25日 世界と日本 大図解シリーズより)