伝書鳩の無念
2月のある寒い日、オヤジは何時ものように茶の間で新聞を読んでいました。そこにお母ちゃんが飛び込んできて、ハトが凍え死んでいるというのです。何事かと思ってよく聞いてみると、洗濯物を干そうと思って2階のベランダに出たところ、エアコンの室外機の傍にハトがうずくまるようにして横たわっていたというのです。それは伝書鳩のようでした。
顔を覗き込むと、安らかな寝顔のようにも見えますが、どんな思いでここまで辿りついたのかと思うと、ふびんでなりませんでした。足に付けられていた管を外してみると、小さな紙に03の市外番号で始まる電話番号が書いてあったので、飼い主の方はどんなに心配しているだろうと思い、電話をしてこちらの状況を説明しようということになりました。
電話はすぐに通じ、飼い主にハトを発見した時の状況を説明しました。その方が言うには、前日に宮城県で大会があり、亘理町から一斉に飛び立ったのですが、「隼にでも襲われ、逃げているうちに迷子になってしまったのでしょう。どこか土の中に埋めてください」という意外な答えが返ってきました。ボクとしては、お母ちゃんに頼んで埋めてもらうしかなかったのですが、それでよかったのかどうか複雑な気持ちです。